<2025年10月31日(金) リリース>
2024 Aya Rouge 綾ルージュ
(赤ワイン/辛口/750ml/アルコール度数11 %)
メルロ単体で仕込んだものと、レゲントをベースとした混醸で仕込んだものをブレンドして仕上げた。
いずれも原料は全て除梗をおこない、野生酵母による自然発酵で2~3週間、20℃前後で発酵させた。
発酵終了後、バスケットプレスで圧搾し、ステンレスタンクで約10ヶ月熟成。その間、重力により滓を沈殿させ、2回の滓引きをおこなった。
2025年7月に瓶詰し、さらに3ヶ月瓶内で熟成をさせ、同年10月末にリリース。
艶のある、赤や黒に微かに紫と茶色が混じる色味。
表層の赤や黒の果実のエキスを感じる香りに、レモンのような柑橘や獣のようなワイルドな香りがかすかに感じられる。
口に含んだ瞬間から口腔全体に広がる淡い色のスグリと乳酸が合わさったような酸味が、アタックから余韻にかけて続き、味わいの全体の流れを作る。
ラズベリーや熟したザクロを思わせる透明で立体的な液体の中に、食欲をそそるセイボリーなエキスのニュアンスが感じられる。 これは樹上で干し葡萄状態になったレゲントに由来していると思われ、ライトボディからミディアムボディの明るいフレッシュな印象のこのワインに飲みごたえを与えている。
温暖な宮崎のワインとしては酸味がしっかりと残り、飲み口の心地よいワインに仕上がった。
濃すぎない味付けの牛肉を使ったお料理といかがでしょう。牛肉とハーブ、スパイスのボロネーゼや、牛肉と醤油を使う肉じゃが、すき焼きなどと相性が良さそう。
【産地】宮崎県綾町
【ブドウ品種】レゲント(56%)、メルロ(34%)、藤みのり(5%)その他(5%)
【保管推奨温度】12℃
【飲み頃温度】15℃~18℃
【生産量】524本
2024 Aya Rouge
平年より遅めの春一番であったが、3月中旬には萌芽を確認。
新芽を食べに集まってくるサルハムシの捕獲作業とともに、ヴィンテージが始まる。
4月はサルハムシの捕獲を続けながら、ブドウ栽培の準備の月。冬の間に収納していた雨除けビニルの張り作業を行うも雨が多く、晴天の日は3日しかなかった。3年目となる日向夏の発酵管理をしながらの4月となった。
5月上旬にブドウの開花が始まり、芽欠き・誘引と畑での作業が続く。しかし先月に続き晴れ間が少ないことから異様な湿度が続き、うどん粉病の兆しがすでに表れる。サルハムシが落ち着いた頃に、ブドウの葉を食べるブドウスカシクロバの幼虫が大発生。
平年よりも1週間遅く6月1週目に梅雨入りしたものの、梅雨の期間としての雨量は平年並みであった。梅雨の晴れ間が少なく、特にヴィニフェラ種でうどんこ病が急激に拡大した。一方で、この時期は成育が早い品種から順番にべレーゾン(着色期)に突入する。このあたりからブドウの実を食べるブドウトリバの幼虫が姿を現し、粒単位で腐敗果を取り除く摘粒という作業が収穫まで続く。
7月に入ってからは晴れが多く、最高気温は35℃を超える日が続く。恵みの雨とはよく言ったもので、気温が下がる雨の日が恋しくなる。梅雨は平年通り16日に明けた。春先の天候不良による病気は、7月からの晴れと高温が続いたことで拡大は収まった。8月は3日から収穫をスタート。雨量ゼロの日が中旬まで続き、収穫の月としては最適であったが、春先のうどんこ病の蔓延が影響し、この年の収穫量は激減した。特にシャルドネのダメージが大きく、創業以来はじめて綾ブランの仕込みを断念。しかし、収穫直前の7月8月が好天に恵まれたことから、生き残った果実たちは十分に熟すことができた。
幸いにも収穫期間中に台風の影響はなく、無事に収穫を終えることができた。
ちなみに、収穫後に宮崎へ上陸した台風10号の降雨量は一日で200ミリを超えた。
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2024年は春先の天候不良と多湿な日々が続いたことでヴィニフェラ種が壊滅的なダメージを受け、厳しい年となった。2024年の収穫を終えて、毎年のことながら天候の不安定さに苦戦を強いられているが、耐病性のある品種への入れ替えが収量安定へのカギだと痛感している。
近年の気候変動に対して柔軟な対応を取りながら、来シーズンもベストを尽くしたい。

